@油性インキと水性インキの定義
まず、現在グラビア印刷に使われているインキの種類は、油性インキと水性インキに大きく2つに分別できます。この2つの違いは、使われている溶剤によって区別されます。油性インキは、溶剤に有機溶剤を使用したものを指し、従来から使用されてきています。それに対し、水性インキは、溶剤に水とアルコールのみで使用したものを指します。有機溶剤というのは、トルエン・酢酸エチルなど約9種類の化学物質を使用した溶剤の総称です。正確に言えば、油性と水性の違いは溶剤に使われている化学物質の違いなのです。下記に、それぞれのインキに使用される化学物質の一覧をあげました。
a)油性インキ
・ トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、MEK、MIBK、
IPA、エタノール、n-プロパノール
b)水性インキ
・ アルコール、水(水は化学物質ではありません)
A油性インキの問題−残留溶剤問題&排出された溶剤−
水性インキと油性インキでは溶剤に使われる化学物質が違います。インキのところで説明しまたように、印刷効率を上げるためには蒸発しやすい化学物質を使用します。しかし、トルエン・MEKなど油性インキで使われている化学物質は、様々な問題があります。1、刺激臭が強い。2、引火点が低く、揮発性も高い為、充満した際に引火・爆発しやすい。3、人体に吸引されると健康被害を及ぼす。4、環境にも影響がある。
印刷工程上蒸発させた溶剤は、@工場外へ排出される。⇒大気汚染や工場周辺の悪臭問題につながります。 A排出しきれないものは工場内に充満する。⇒引火・爆発の危険性や作業員の健康被害など、作業環境の危険性があります。B蒸発しきれない溶剤は、フィルムに残る。⇒これを残留溶剤といい、印刷された袋の特有の臭いはこれが原因です。
残留溶剤問題は、商品のイメージを悪くするだけでなく、食品の場合、風味を損なったり、臭いを吸着しやすいものにいたっては味が変化する場合もあります。

B水性インキについて
水性インキが油性インキと異なるところは、溶剤の違いです。水性インキは、基本的に水とアルコール。これを使用することにより、油性インキの諸問題を解決してくれます。
a)残留溶剤問題
水性インキでも残留溶剤は発生します。ですが、残るものはアルコールと水のみです。アルコール+水は、強い刺激臭もなく、内容物の風味を変化することはありません。(補足=包装物の完全な無臭化とは違います。フィルム自体の臭いはそのまま残ります。これは残留溶剤とは違います。)数値で表すと、油性インキが約3〜5r/uに対し、水性インキは約0.2r/uと少ないのです。つまり、残留溶剤による問題はありません。
b)排出される溶剤
水(水蒸気)は臭いも環境や健康への影響も何もありません。全くの無害です。アルコールは、環境や健康上影響を与える許容範囲よりも、かなり低いものです。工場内はアルコール(アルコール臭)で充満していますが、臭いはほとんどありません。しかし、アルコールですので引火の危険はあります。ですが、有機溶剤に比べれば、危険度はかなり低いものです。現に、これらの溶剤は消防法で保管できる量が規制されていて、水性インキは油性の10倍の量が保管できるのです。つまり、排出される溶剤は環境上問題が少なく、作業現場の環境は大幅に改善され、火災の危険性が少なくなります。
Cその他水性インキ(水性グラビア印刷)の特徴
水性グラビア印刷に使用される版は、油性と比較すると、版深度(溝の深さ)が浅く、線数(ドット)が細かいことが特徴です。これによって、油性とは違う風合いの印刷が出来上がります。一般的に、色合いが明るくなり、また、網点再現性(細かいところ)が良くなり、ハイライト性が良くなります。
浅版化することにより、インキ使用量が減ります。インキ使用量が減ることで更に溶剤による影響は少なくなります。
問題点としては、印刷効率が悪くなることと、フィルムとの相性があることです。印刷効率が悪くなるのは、乾燥工程が長くなるので、生産性が落ちます。また、使うフィルムを選ぶことです。同じ種類のフィルムでもメーカーや製造法により、印刷可能なものと全くダメなものがあります。ほとんどの種類が印刷できますが、セロファンや表刷りはいまのところ印刷できません。
D水性インキ使用にあたり
水性インキ使用にあたり、当社では水性インキの商品名を
“aquatic-ink”
* 水性インキの法対応
残留溶剤 ⇒ PL法
排出問題 ⇒ 大気汚染防止法・悪臭防止法・PRTR法・各県の条例(埼玉県条例)
火災の危険性 ⇒ 消防法
作業環境 ⇒ 労働安全衛生法
水性インキは、これらの法律に対応します。
* 水性インキ商品のPR効果
より鮮明な印刷が可能です。
残留溶剤問題や環境対策など、クリーンな商品を提供できます。